街道筋に昔ながらの町並み、旅館がならぶ
長谷寺の街道筋。軽自動車がやっとこさで
行き交える幅にぽつぽつとそんな情緒ある
風景に出会える奈良、桜井市初瀬。
その土産もん店でこころ飴と大きく染め抜
かれた店にであった。ここは奈良に本社を
置く共栄印刷株式会社、代表掘井清孝氏の
思いが随所に込められたお店。
「やまとびと心の店」どんな商品も作り手
の顔がちゃんとみえる。
フリーペーパー『やまとびと』とはもう1
5年ぐらい前から共栄印刷で取り組んでい
るフリーペーパーのタイトル。堀井氏が生
まれ育った桜井や近隣の町や土地、人の魅
力を紹介する情報誌。
その思いは、若者がどんどん都会にでて行
き、寂しくなる地方都市を見つめ直し、生
まれた町に人々を戻したい。
以前、私も人物や和菓子を撮影させて頂い
た。
その撮影で出会った作家の吉岡萬理氏。
彼の作品は大胆な絵付けで、カップがおう
ちにあるだけで楽しくなるインテリア的な
ものだ。彼の工房はこの街道筋を長谷寺に
もう10分ほど上がった先にある。工房に
居られる時は見学も可能なので、長谷寺に
お参りした後ちょっと立ち寄りたい場所だ。
この『やまとびとこころ店』はその繋がり
やこの地で生まれた素晴らしい物達の発信
場所なのだ。最近は旅行の企画も手がけて
いると話。
夫婦饅頭と御薄のセットや葛餅などお土産
物がカフェで、いただける。夫婦饅頭は伊
勢参りの人々の往来で賑わった江戸時代に
旅人が愛した味を復元したそうだ。
一つ頂いたが小さい蒸籠で蒸し上げ、ほの
かな酒饅頭の香りと上品な甘さ、粘り気の
ある餡は二種類の素材から層になっていた。
2階の座敷に上がると、清涼感のあるお香
が漂う。床の間の違い棚には石仏を安置。
堀井さんは「旅先で見つけたものなんです」
と教えてくれた。座敷の机は寺院のお経を
読む時などに使われるサイズを再現したら
しい。釘を一本も使っていない造作が美し
い。又ここからの眺めは、向の古い旅館と
青々と茂る里の緑を楽しめる空間に仕上が
っている。(文:写真、宮田昌彦)